体験活動中の少女


 

この前入ったと同じ、某店の同じカウンター。

ひとつ置いた次の席のおばちゃんが、塩ラーメンと

ギョーザとおにぎり(とろろ)を、

さらりと、時間にすれば2秒半ほどで注文した。

たくさん食うんだなあ~と感心していたら、

それを伝票に書き込んでいる店員さんが、

では、ギョーザセットとおにぎりにしておきますねと、

さらに1秒半ほどで答え、丁寧にお辞儀をする。

おばちゃんも、そうかあ~と嬉しそうだ。

そこまでのやり取りもいい感じだったが、

さらにまた横にいた店員さんを見て、ちょっと驚く。

どう見ても幼いのだ。名札が見える。

目の前にいる店員さんは、「猪熊とら子」(仮名)と

正しい名前が書かれているが、幼い彼女の名札には

「体験活動中」と書かれている。

この場合、「体験活」が姓で、「動中」が名ではないことは明白だ。

一応解説すると、

彼女は地元の中学生で、所謂、職業体験みたいなことをやっているのである。

少し緊張気味の様子だが、用事を言われるとキビキビと動く。

猪熊とら子(仮名)さんが、××をお願いと言うと、

はいッと気持ちよく答える。

その様子を、忙しいはずの厨房からご主人だろうか、心配そうに見ている。

最近は、味はなかなかだが、食べている最中に、

アタマの上で店員に怒鳴られるラーメン屋が増えてきた。

それで嫌いになっているわけではないが、

やはり、ラーメン屋さんには、店員の声のデカさを

決め手にしていない客もいるということを知っていただきたい。

そんなわけで、当方のBセットも滞りなく食べ終え、

いい気分だったせいか、思わずラーメンのスープも

いつもより、やや多めに啜ったりした。

頑張れ、動中ちゃん! 巨匠と呼ばれる日まで………?


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