ソバ屋のおやじさん的映像化…


会社近くの、よく行く蕎麦屋のおやじさんから、「ゴンゲン森…読みました」といきなり言われた。病院の検査帰り、朝から何も食っていない空腹状態で店に入ったのだが、カウンターに座るなりの左ストレートで膝がよろめいた。

「ワタシゃ感じたんだけど、あれは映画かドラマにしたらいいなあッ。うん、あれは、絶対いい映像になると思うよッ」

驚いた。  『ゴンゲン森と…』のイメージが、このおやじさんにも共通するものを持っていたなんて。当然、嬉しくなった。しかし、おやじさんは続けた。

「あの出だしのところは、まるで『雪国』(古いが、川端康成大先生の代表作)だねえ。意識してそうしたの?」

えっ、とんでもない。『雪国』など全くもってカンペキに頭にない。指先や踵に至ってもないし、鼻毛の先にも付着していない。それに、もしあったとしても、そんな作品の真似をするなど考えられない。そう答えたが、おやじさんは、よく似ていると思うんだけどねえっと、首を捻ってばかりいた。

『雪国』の出だしはどうでもいいのだが、映像にしたらいいねえという話は、なんだか知らないうちに一部で盛り上がってきた。胸が苦しくなってくるなあ~


“ソバ屋のおやじさん的映像化…” への5件の返信

  1. おやじさん結構あなどれません。
    「ゴンゲン森…」の根底にあるものが年代の枠を超えて評価されたことを
    見事?に証明してくれました。

    この店そば屋なのに、うどんが美味いので本当にあなどれません。
    もっとあなどれないのは焼肉定食のタレ。絶妙です。
    豚焼肉と牛焼肉があります。
    次回、牛焼肉定食にチャレンジ。決めた!

  2. 村上龍の『限りなく透明に近いブルー』のイントロのしつこいくらいの情景描写を想い浮かべてしまいました。
    中居さんのこの小説の冒頭の部分、ナツオがゴンゲン森を駆け抜けるイントロ部分だけでも実に映像的です。木立の鬱蒼とした陰と、それを突き抜ける強い日差しの明るさ、、、 この対比が、映像化すると活きると思います。

    その他、まだ干拓されていない頃の河北潟や、砂埃が舞う道路など、ノスタルジックな映像が次々とフラッシュバックされてしまうのは私だけでしょうか?

  3. と言っても、干拓以前の河北潟とか、その当時の内灘の様子なんかは、想像の域を出ない私です。

  4. P46からP48にかけて、歴史的に非常に興味深い記述があります。それは、干拓される前の今の4倍の大きさであった頃の河北潟では内灘地域の各村々と、その対岸の地域の村や町(津幡?八田?才田?)とが舟を使って交易を行っていたいうくだりです。そんなことを知っているのは今やその地域のお年寄りだけでしょう!(N居も含めて)
    そんなシーンが映像化されて世に出たら、、、みんな驚くやろうなぁ、、、
    えぇ!!!河北潟でこんなことが行われとったんやぁ!!!てね、、、オレだけ?(T-T)

  5.  フランスの映画監督ジャック・タチを敬愛する、某映画プロデューサーです。「ゴンゲン森‥‥」はそば屋のおじさんがいうように、素敵な映画になる可能性を秘めた話だと思います。内灘、河北潟の自然、昭和30年代の時代設定、「スタンドバイミー」を彷彿とさせるような少年群像、そしてナットキングコールの音楽‥‥、映像化の要素としてはバッチリです。原作本の拡がりと共に映像化したいという依頼は増えてくるのではと思います。
    「3丁目の夕日」以来、定着化してきているVFXの技術でもって、よしろうさんの言うように、干拓前の河北潟の風景や、当時の内灘砂丘の様子を見事に再現することも可能な時代になってきました。映像化困難といわれた「坂の上の雲」が快調に滑り出しているのも、スターウォーズのエピソード1、2、3が後からできたのも皆、そのCGの技術を待ったからでした。そういった意味でもこの「ゴンゲン森‥」は今だからこそ出来る映画なのだと思います。
     
     ただしそれをするのに莫大な金がかかるのは事実です。ちょっと本腰を入れて見積もってみようと思っています

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