キースの即興ソロ・・・
久しぶりにじっくりと『ケルン・コンサート』を聴いた。
しみじみと春が青かった時代が蘇ってきた。
キース・ジャレットの生ソロは、大学4年の秋、このアルバムの出た後のNHKホールで聴いている。
当然ながら満席で、ボクの横の席には、有名な何とかさんと言うクラシックの評論家が座っていた。
その人は、前半が終わると席を立ち、休憩時間が過ぎても戻ってこなかった。
立ち上がり、唸り声を上げながら鍵盤を叩く、キースの演奏スタイルに耐えられなかったのだろうか。
キースにショパンを重ねるような評価もあったようだが、ボクはマイルス時代のエレクトリックピアノを弾くキースも好きだったので、全く違和感なしに座っていられた。もちろんそれだけの理由ではないが。
若き山下洋輔さんも身近で見て聴いていたことを思えば、立ち上がってピアノを弾くくらい何でもなかったのだ。
このコンサートは札幌から福岡まで七都市をめぐるツアーのひとつだった。
しかし、出来は今一つで、その証拠に、その後発売された全国各地のライブを集めた10枚組アルバム『サンベア・コンサート』には、NHKホールのものが入っていなかった。
その夜、ボクは大阪出身の友人・H本クンと渋谷駅で待ち合わせ、一緒に出かけた。
彼にジャズを勧めたのはボクで、四年になると、彼は当然かなりのジャズ通になっていた。
肌寒かった夜、NHKホールに向かう途中で、パルコにあったレストランに入り、超高いスパゲティ(当時はパスタと言わない)を食う。
そして、一万円だったかの、学生の身分では破格値チケットを手に、NHKホール2階席の前列真ん中に陣取った。
緊張するボクたちを相手に、キースは即興を演った。しかし、もがいているようにも見えた。
ところで、『ケルン・コンサート』が出た時、ジャズ喫茶に三時間ほど居ると、必ず二回は聴いた。
たとえば吉祥寺ファンキーを出て、同じくファミリーに場所替えしたりすると、一日に三度くらい聴くこともあった。
片町時代のヨークでは、そのレコードを店に置かないことにしていた。それほどまでにリクエストが多かったのだ。
特にFMの深夜番組「ジェット・ストリーム」のテーマに使われてからは、異常と思えるほどの人気となった。
ジャズを聴いていなかった人たちも、このレコードを持っていた。ジャズピアニストの即興演奏ということなどどうでもよかった。
よくそういう人たちから、これはジャズじゃないよねと言われた。
ボクはジャズだと答えた。ジャズってね、そういう音楽なんだよ…と。
それにしても、このキースは完璧すぎた……。
久しぶりです。
ケルンコンサートは、大好きですね。
でも、ジャズ的音楽?を聴いていない人にとっては、
それ以外のソロコンサートは厳しかったんではないですかね。
私も大それたことは言えないけど、
やはり、ケルンコンサートの一曲目は格別。
あれが即興とは、今でも信じられませんよ。
なんだか久しぶりに聴きたくなりました……。