メガネが壊れたこと


ヒトビト的エッセイ記念すべき第二〇〇話は、「壊れたメガネについて」である。

二〇〇話というと、野球で言えば名球会入りの数字に似ていて、それなりに感慨深く思ったりするのが正しいのだろうが、この場合はそれほどでもない。

ただ、だらだらと書いてきたら、いつの間にかそれに達したというだけのことだ。

それで、その本来ならば記念すべき話の内容を、なぜ壊れたメガネにしなければならなかったのかというと、これもたまたまで、書こうと思ってパソコンに向かったら、偶然二〇〇話目ということに気付いたに過ぎない。

今更、内容を変えるわけにもいかず、前置きもこれくらいにして、壊れたメガネの話を書こう。

 

ボクの場合のメガネというと、遠視用メガネ、呼び方は嫌いだが俗に言う老眼鏡をさす。雪山で使うサングラスも二種類持っているが、日常的にはほとんど使わないので、メガネといえば老眼鏡、いや遠視用メガネだ。

その老眼鏡、いや遠視用メガネのフレームと柄の部分というのか、つまり鼻に乗っけておく本体部分と、耳に引っ掛ける棒の部分との接点がおかしくなり、それは繋いでいる薄い金属が折れたということなのだが、当然耳には引っ掛けられなくなった。

一般的にメガネは、耳に引っ掛けておいて使用するものが普通で、なかなか鼻だけでそれを支えていくのはむずかしい。

幸い折れたのが左側の一本だけだったので、始めの頃はそれなりに右耳一本で何とか支えてきたのだが、どうも落ち着きがよくないのである。メガネ本体が微妙に右の方へと傾いていく。

それにメガネの耳引っ掛け用の棒が片方しかないというのは、あまり見た目にもよくなく、出来るかぎり人目に付かないようにして、さり気なく使わなければならなかった。

たとえば人前で使わなければならないことを考慮して、左に人が来ないような場所で使うようにするなどである。

喫茶店などでは左側に壁か窓のある場所に座る。電車の予約席も絶対「A」にする。実際には電車に乗ることはなかったが、これくらいに気を遣った。

ただ、何気なく使っていると、時々外そうとして左の棒の方を摑もうとした。そして、その棒がないことにハッと我に帰ったりもした。いつもメガネを外す時は、左手で外していたのだと、その時初めて知ったのである。これはそれなりに新鮮な発見であった。

そして、ついに、その不安定感や余計な気配りなどに嫌気がさし、先日メガネ屋さんに行くことにした。

実を言うと(というほどでもないが)、ボクの眼は乱視も入っていて、月などは毎晩最低三つくらい確実に見えていた。

月がひとつしかないと言うのは、当然知っているが、かつて見ていたひとつの月は、今は二度と確認できないものになっている。

視力検査でも、顕微鏡のような例の器械を覗き込むと、メチャクチャな結果を招くらしい。ここ三年ほどは、検査のおねえさんに促されて、普通に目に杓文字のようなものをあてる検査もしている。

顕微鏡のようなものだと、0.5とかは分かるのに、1.0が分からないとか、おねえさんたちの判定を惑わせているらしいのだ。

その点、杓文字は長年の付き合いのせいか妥当な判定が出る。

ちなみに、ボクの視力は昔から両方とも2.0で、両目では4.0であった。

そんなわけで、メガネのレンズそのものとも、すでに不適切な関係にあったのだった。

 

メガネ屋さんは、家から近いこともあり、かほくイオンにある店にした。実はイメージしていたのは別の店だったのだが、歩いているうちに先に目に付いた店へと入ってしまい、面倒だからとその店に入って即刻決めてしまった。

店員のおねえさんも手際がよく、ボクの弱点である乱視について、きめ細かくああだこうだとアドバイスをくれた。

納得いくまでというより、ボクの方はすぐにそうだ、そうなのだと積極的に納得モードに移っていき、おねえさんの差し出す提案に素早く反応していったのである。

かくして、壊れたメガネは、次回またメガネを買う時に下取りしてもらえるという幸運も得て、家に戻ってきた。

ところで、メガネを買い替えた途端、急に浮上してきたのが、CASIOの山岳用アイテム(アプリ)がビッシリと付いた腕時計の電池交換問題だ。

アナログ(針)とデジタルが両方付いたというやつで、もう販売していないのではないだろうか。

前は普通の時計屋さんで電池交換もやってくれたが、今は中が複雑だとかでやってくれなくなった。それに値段もボクにしては破格だ。度胸のある時計屋さんがいなくなったのだろうか?

メガネは再利用できなかったが、この時計には初冬の雪山で、気温マイナス10℃の中、じっと見つめ合っていたという思い入れもあり、また動いてもらおうと思い始めた。

そんな山などもう行くこともないだろうが、いつもいい気分でいられるのがいい。

というわけで、メガネの新調がもたらした、何となく恥ずかしいながらも、嬉しい気持ちになれた話なのであった……(おしまい)


「メガネが壊れたこと」への3件のフィードバック

  1. 200話は、ヒトビトらしくていいお話でした。
    これからも300,400とお待ちしてますよ。
    それにしても、200話なんて、
    ちょっと少ないんじゃないですか?
    もっと、いっぱいあるような・・・・。
    だってブログになってからのことですから、
    ポレポレやヒトビトの時の分も入れたら
    まだまだあると思うんだけど。

  2. 200話達成おめでとうございます。
    これからもますます書きまくってください。
    いつも楽しみにしています。

  3. 200話なんですか~。
    凄いですね。
    今回はそれらしいお話で、
    それらしく読んでしまいました。
    まだまだですよ~

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