明治ラグビーの復活… 早明戦の復活
2015の早明戦は近年にない白熱した好ゲームだった。
明治ラグビー復活の道筋は、監督・丹羽政彦と、今シーズンから就任したFWコーチ・阮申騎(げん・しんき)が作ったと言えるかもしれない。
コンタクトの強さを前面に出す明治らしい選手がいなくなった…と嘆いていた阮。
しかし、しっかりと新しい明治らしさを見た気がした。
そして、そのことで早明戦の本当の姿を復活させてくれたと思った。
試合終了間際、ゴールライン付近での攻防は、かつての早明戦の定番だった。
ただかつては、FWで執拗に攻める明治に対して必死に守る早稲田というパターン。
しかし今年は、攻める早稲田に守る明治……
攻守は入れ変わったが、両チームの懸命な姿勢は変わっていなかった。
かつて国立を満員にした早明戦、その人気を、いや大学ラグビーそのものの人気を失墜させたのは明治だ。
明治が弱くなったからだ。
一年の終わりの早明対決を楽しみにしてきたファンを裏切ってきたのも明治だ。
早稲田の関係者たちから、明治が強くならないとダメだと言われながらも、明治は復活の道を見つけられないでいた。
ようやく前監督(吉田義人)によって陽は差しはじめ、そして、現監督(丹羽政彦)が現実のものにしていく。
40年あまり、最初は国立だったが、その後はほとんどテレビ観戦で応援し続けてきた早明戦。
説明のつかない切迫感と、歓喜と落胆を繰り返す80分間。
勝てば心の底から喜び、負ければ虚しさのどん底へと落とされる。
特に負けた時には、まるで自分の価値観が握りつぶされたような、そんな絶望に似た苦痛が迫ってきた。
そんなことを毎年繰り返してきたのだ。
テレビの前でも、国立のスタンドにいるように立ち上がり、大声を出して突進する選手に檄を飛ばす。
互いのチームカラーがはっきりと違っているからこそ、互いが自分たちのスタイルで勝つことにこだわる姿が美しかった。
これから正月に向けて、明治ラグビーは新しい時代へのチャレンジャーにならなくてはならない。
これまで代表に多くのOB選手の名を連ねてきたように、もう一度明治ラグビーの魂に火をつけてほしい。
これまでの空白の時間を埋めてくれなくてもいい。
これからの時間を楽しませてくれればいい。
今だから言う、はっきり言ってW杯は勝っても負けてもどうでもよかった。
日本のラグビーが世界に羽ばたいても、早明戦がかつてのように白熱し、強いて自分の都合で言えば、明治が早稲田に勝てばそれでよかった。
大学ラグビーらしい必死さ、そして爽快感を久々に味わった12月6日。
来年の早明戦を、かつてのように優勝を争う一戦にしてほしい。
心からそう思っている……