🖋 おしぼり


コンビニ。棚からサンドイッチを持ってレジへと行く。 

ビニール袋に詰め込まれる際に、「おしぼり使われますか?」と問われる。

「ハイ」と答える。が、ホントのところはどうでもいい。

別におしぼりがなくてもサンドイッチの味は変わらないと思っている。

大勢に影響はないと思っている。

ただ、どちらでもいいですという選択肢はないし、「いいえ」と答えるのも変かなと思うので「ハイ」と答えている。

そのようなやりとりから感じたことがある。

おしぼりは、否応なしに付けといてくれればいいんじゃないかなということ。

そうしてくれた店もあった。

なぜそう思ったか?

それは、「おしぼり使われますか?」に、

あなた、おしぼり使うほどには見えませんけど… といった思いが隠されているように感じられたからだ。

こうなれば、自ずとハイと答えるしかなくなる。

一応ジャケットにネクタイをして仕事スタイルである。

これから会社に戻ってコーヒーを淹れ(自力でだ)、サンドイッチをいただくのである。

侘しいと思われるのかもしれないが、それなりの時間を過ごそうとしているのである。

だが、普通のティッシュペーパーぐらいはあっても、ウエットティッシュなど置いてないし、当然持ち歩いてもいない。

だから、「使います」は省略するが、ハイとだけ答える。

真意で言えば「当然です」を付け加えてもいい。

「お願いします」もいいだろう。

そういうわけで、昼めしなのである………

※この文章は某団体の機関誌に寄稿したものの、ほぼ原文にあたるものです。


“🖋 おしぼり” への1件の返信

  1. こんにちは。

    いつも思うけどいい文章だな。

    声に出して読みたい文章だなって。

    こういう風に書けたら。。。

    失礼します。

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