🖋 常識は普通の上にある?


AIの非常識を笑えるか?

💡常識と常識はずれの境目にあるもの

 AIの勉強会に参加したことがあった。AIによって仕事を効率化している人たちが増えたという定番のテーマである。一応基本的に学習しておかなければならないテーマであり、さらにホテルの弁当が出るという少人数の会だったので、素直に参加案内を出しておいた。

 そこでまず感じたのは、ある意味の〝安心〟だった。つまり、周囲もほとんどが本質まで理解が行っていない人たちばかりで、弁当が目当てではないにしろ、なんとなく世の中の空気に浸りに来ているといった雰囲気だった。

 講師の先生は某公共機関から来た方で、話がうまかった。最初から本気じゃないことが見透かされている聴講生を前にして、AIをうまく興味深いものにさせようとしていた。

 そして話は、AIはまだまだ課題があるということで、短絡的に導入しても失敗するだけだから、そのまだまだな点について知っておこうみたいな感じで始まった。

 まず何と言っても、AIは単一的な仕事に対しては圧倒的に高い効率性を発揮するということ。しかし、得意とする部分が超・特化されているだけで、それ以外は融通の利かないカタブツらしいということ。

 たまに人でもそういうのと遭遇するが、応用力がないとか周囲に溶け込めないなど… 課題があるみたいだった。

 言い換えれば、独りよがりなのですと先生は言った。ちょっとチカラが入った感じがして、日常の周辺が垣間見えたりする。

 ボクはすかさず「AI」のくせに「愛」はないのか…と、得意のギャグで応酬した。

 先生が、なぜそうなるか?… について説明する。AIには、人間の世界でいう「常識がない」からだそうだ。なるほどと思いながら、ちょっと分かり易すぎて戸惑う。

 例え話が出る。普通「三つ目の信号」というと、「三番目にある信号」と解釈するのが常識だと思うと先生。しかし、AIの中には、「目を三つ持った信号」というふうに解釈する場合がある…と。核心へと向かう切り口を示しているかのように、先生の目が光った…ように見えた。

 解釈としては間違っていない。確かに「目を三つ持った信号」でも間違ってはいない。先生は、そこでAIの方も“何か文句ある?”みたいな反応を示すのだと言った。

 その開き直りに対してギャフンと言わせるキーワードは、「普通」だった。それがないから「次元」というのが分からない。常識での解釈という尺度がない。そこがAIの弱点。自分の解釈も付け加えて、とりあえず納得した。

 さらに先生が姿勢を正し、ひと言。どんなに優れた能力を持っていても、「常識」がなくては安心して使えない…と。

 ニンゲンも同じだな。そう思うと、AIが急に平凡な存在になったが、正直まだAIと正式に相対していない身としては、どう付き合っていけばいいのかよく分からないのも事実で、とりあえず、AIよりは常識を持とうということにし、出てきた弁当に箸をつけ舌鼓を打っていたのである………


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