雪のある東京の思い出
これから読んでもらうのは、何年も前に書き、かつて『ポレポレ通信』(第44号)というプライベート紙に掲載した短いエッセイだ。今の季節に、ふと思ったりすることを書いた。少し書き直してみようかとも思ったが、とりあえずそのまま読んでもらおうと思う。
「雪のある、東京の思い出…」。
東京に雪が降って、銀座の街に雪ダルマの姿があった。異様な光景ではあったが、何となく東京人の洒落っ気を思い、心憎ささえ感じてしまった。
そして、東京に降る雪の方がオシャレに見えたのはなぜだろうか、とボクは考えていた。
すると古い話だが、親友たちと飲みふけっていた大学の卒業式の夜のことが思い浮かんできた。場所は中野だったと思う。底冷えのする寒い夜だった。
その数日前、東京に季節外れの雪が降った。ほとんどは融けてなくなっていたが、それでも所々に凍り付いたままの雪が残っていた。
かなり酔っ払った後、ボクたちは線路沿いに出ていた屋台でラーメンを食う。酔っ払っていたのと寒かったのとで、そのラーメンは感動的にウマかった。
ボクたちはドンブリを持ったままウロウロと歩き回ったり、何だか訳の分からない歓声を上げたりしながら、そのラーメンを食っていたのだった。
突然、そんなボクたちの横を轟音とともに電車が通り過ぎて行った。まさに不意を突かれたといった感じで、そのときボクたちの周囲にあったすべてのものが、一度に吹き飛ばされてしまったように感じた。
事実、その轟音によってボクたちのラーメンに対する感動はコッパ微塵にブチ壊され、冷たい風がボクたちの全身から温もりさえも奪い去っていったのだ。
ふっと訪れた冷たく白々しい静寂。ドンブリから上がっていた湯気さえも、虚しそうに冷気の中へと吸い込まれていく。
ああ、東京ともこれでお別れか……と急にセンチメンタルな気分に襲われ、胸が痛くなってくる。
残されたラーメンの麺をすすろうとすると、カジかんだ手から割り箸が落ちた。
ふと見下ろすと、足元に小さな雪の塊。
東京の雪はすべてがアスファルトの上に積もっているのだなアと、その時ボクは何気なく思った。当たり前のことだが、東京では雪融けが春を告げるものでないのだとも思った。
雪そのものも冬の風物詩ではなく、単なる冬の間の一時に訪れる珍客に過ぎないとも思った。
東京の雪は交通をマヒさせることはあっても、生活様式を変えてしまうようなものではない。それがあの銀座の雪ダルマに象徴されていたとボクは思う。
当たり前だが、雪に埋もれた日々を送る人たちが持っている雪への思いと、東京の人たちが持っている雪への思いは違うのである。
二月の終わり、何となく春めいていく日々の中で、雪への思いが逆に募っていく……(終わり)
ボクはとにかく雪が好きだ。雪のある山里の風景には涙が出るくらい感動するし、雪の世界に足を踏み入れていく遊びには、かなりポジティブになれる。雪のある場所をわざわざ選んで歩くことも無性に好きだ。よく、子供みたいだと言われた。
石川県に戻ってから、東京に雪が降り都内の交通がストップした時、はっきり“ざまァ見ろ”と思ったことがある。大人げない話だが、その時ボクは完璧にそう思った。
北欧や南太平洋の国々などは別にして、どこの国に行っても寒い地域と暖かい地域のあるのは普通だ。そのどちらかに人は住みつき生きている。ボクはたまたま雪の降る土地に生まれ、雪の降らない土地にしばらく住んだ後、また雪の降る土地に戻った。雪が降るとか、雪があるというのは当たり前のことで、雪のない土地のことを羨ましく思ったことはない。
なのに、なぜ“ざまァ見ろ”と思ったのか。答えは簡単だった。その時、あの人たちは雪で遊べない人たちなんだと感じたからだった。かつて見た銀座の雪ダルマはたしかにオシャレであったが、それだけでしかなかったと思った。
雪で苦労するというのは、そんな生易しいものではない。ボクたちはそのことを体中に染み付けながら、敢えて雪を楽しむ術も知っている。ボクはそんな雪国に生まれてよかったと思っている……
雪の思い出。
最後は肉弾戦に突入する雪合戦。
本格的かまくらづくり。
凍った水溜まり割り。
つららアイス。
貨物列車に雪玉ぶつけ。
仲間をブレーンバスター。
高所から飛ぶ。
こうしてふり返ると、ろくなもんじゃない。
それでも、それなりの工夫や攻略もあり、楽しかった。
都会の人って、雪が降ると、何だか雪だるまをすぐ作る。
やはりうれしいんだろうなあ。
でも、僕もたまに滑って転ぶ人を見ました。
転び方が異常で、やはり慣れてないのだなあと。
でも、雪は少しぐらい降った方がいいですね。
ゆとりをもって雪景色が楽しめたらいいと思います。
今朝のNHKニュース。
東京渋谷から、天気予報のお姉さん、
やはり雪だるま作ってましたね。
なるほど、と納得しました。
なんか嬉しそうなんで、
あなたたちはそれでいいのよと思ってしまいました。
私も雪国の人間なんだなあ。
今朝は気温は低くないのに、雨降りで冷え込んでますね。
コーヒーがおいしいです。
明日は東京。
残雪の凍結が怖い。
しかし、雪国人として、恥をかくわけにはいかない・・
ボクも東京にいました。
予定が慌ただしく、しかも暖かくて、
日本橋あたりを早足で歩きながら、汗をかいていました。
でも、道中の雪国の風景は、
晴れ渡った空の下、素晴らしくよかったですね。