笹ヶ峰~残雪の上で書き下ろす


 恒例になった毎春の笹ヶ峰スキートレッキング。

 ちょっと空白があったが、二年前に復活して、その時から現地書き下ろしを始めた。

 だから、今もボクは笹ヶ峰の雪原の岩の上に座り、ノートを広げているのだ。

 快晴である。暖かくて、雪面の照り返しもきつい。

 今のところ、前方に見える山の頂上付近に、綿をちぎったような白い雲が緩やかに浮いているだけで、空は全くの青。

 文句の付けようのない日になっている。

 昼飯を終え、雪の上に置いたノンアルコール・ビールの残りを飲みながら、ノートを広げた。

 時間は12時45分。

 8時半、いや9時近くだったろうか、いつもとちょっと違う場所にクルマを停めてスキーを履いた。

 白樺の樹林帯を抜けて、雪原に出ると、いつものように宇棚の清水と呼ばれる湧水のせせらぎに沿って登る。

 澄んだせせらぎの脇に水芭蕉が咲いていて、何度も足を止めてはカメラを手にした。

  今年は去年より雪も多いような気がする。

 昼飯の定位置となっていた大きな岩もまだ雪の中に埋まっているのか、見つからなかった。

 だから、今年はいつもと違うちょっと低めの岩を腰掛け代わりにしている。

 それにしても、相変わらず見事なくらいに静かだ。

 聞こえてくるのは遠くの鳥のさえずりや沢のせせらぎぐらいで、ノートの上を滑るペンの音さえが鮮明に聞き取れる。

 暖かいせいか、雪もやわらかい。

 しかも、例年と比較すると雪が新しい感じがして、スキーの滑りも何となくよかったりするのだ。

 下界の最高気温が25度と言っていたくらいだから、防寒着など全く不要だ。

 いつものようにスキーで笹ヶ峰牧場を隅から隅まで歩き、登り、滑る。

 この広々とした雪原を、今日は自分が独占しているといった感じで、申し訳ない気にもなる。

 たしかにクロスカントリーの練習コースになっているところには、何人かのスキーヤーがいたが、そこを抜けるとまったく人影は見えなくなった。

 例年なら四五人程度だが、人影を見るのだ。

 山の方に入る時、車道を横切ったが、その時に三人組の運転手が手を上げて挨拶して行った。

 サングラスで顔はよく分からなかったが、ニコリと笑っていた。

 ジープの屋根にはボクと同じテレマークスキーが三セット載せられていて、同じ仲間という感覚で手を上げてくれたのだろう。

 こっちも手を上げて笑い返した。

 ただ、彼らのテレマークはボクのとは違い、新しいスタイルのものだったな。

 コンビニおにぎりには相変わらず苦戦したが、ゆったりと昼飯を食い終えた。

 そして、ゆっくりコーヒーでもと思っていたのだが、持ってくるのを忘れて白湯で我慢。

 このことはかなりテンションを下げてしまった。だが、仕方ない。

 これから、下の方に滑り下りて、清水ヶ池から樹林帯を通ってクルマの方へと戻るが、クルマを置いた周辺にも広く開けた雪原があり、そこでも一登り・一滑りをして来ようと思っている。

 日焼け止めは、妙高高原ICで下りてから、いつものコンビニで買った。

 しかし、今日みたいな日は日焼けするぐらいでいいのだ。

 それにしても、こんなにのんびり穏やかな気分でいられるのは、笹ヶ峰に通うようになってから初めてかも知れない。

 雪の中に突き刺しておいたスキーの雪も、とっくに乾いている。

 時計は、13時5分。そろそろスタートしょうかな……


「笹ヶ峰~残雪の上で書き下ろす」への1件のフィードバック

  1. 先日長男から動画が送られてきました。
    この冬宮城のN市に住む長男の子供(8才の男の子)がスキーデビュー。お正月のスキー教室に1人で参加させた成果があったかな?
    青空に太陽が眩しいスキー場、いいなぁ〜。
    思わず深呼吸してました。

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