🖋年末におけるラグビーの高熱


 年も明けたのにまだラグビーの話かよと言われるかもしれない。が、今も冷汗をかきながら書き下ろしている筆者にとっては、今(年末)がラグビー熱・最高潮の時であることをご理解いただきたい。生意気ながら、このようなことは俄かラグビーファンという方には分かってもらえないだろう。

 結論を言うと、大学ラグビーが佳境に入っている時だからである。特にボクのような、かなり年季の入ったM大出は、ラグビーへの愚直な入れ込み方は並ではない。在学中から45年ほどの間、毎年冬になると激しく一喜一憂を繰り返している。

 ご存知W大にもそんなOBが身近にいる。例えば、仕事のお客様でありW大出の某社長氏は、12月第一日曜の両校対決の時が近づくと、いつの間にかスクールカラーのネクタイを締めていたりして、さりげなく(と言っても明解だが)挑発してくる。特にここのところWは強く(というよりもMがモタモタしていた)、形勢はよくなかった。しかし、ようやくMも目覚め始め、往年の逞しさが戻ってきた。

 ところで、大学選手権の決勝が新国立競技場で行われるというニュースに驚いた人がいた。そこでシャシャリ出ていき、そんなことは昔から当然でして……と、熱く語りたくもなったが、ぐっと抑えた。旧国立の時代から、年末は有名なMW対抗戦。正月も決勝は旧国立だったからである。

 地方のニンゲンだから、最近はテレビ観戦が多くなった。家の中では絶叫、歓声、嘆息、その他諸々のテンションは少し落ちる。しかし、窓辺には、さりげなく(と言っても明解だが)、母校のジャージとフラッグが掲げられていたりする。

 ところで、W杯が終わった頃から部屋にあったラグビーに関する本を何冊も読み返した。なんと10冊ほどもあった。われらが北島忠治御大ものから、大西鐵之祐氏、松尾雄治氏から上田昭夫氏、平尾誠二氏、そして清宮克幸氏など。もちろん雑誌なんかもあって多彩に楽しめた。

 中でも新鮮だったのは、松尾雄治氏の『常勝集団』という一冊で、かつて語っていた日本ラグビーへの提言が、今現実のものになろうとしているということに嬉しくなったりした。今、清宮克幸氏らが進めようとしている新しい日本ラグビーのイメージなんかも、松尾氏が35年以上前すでに訴えていたことだったことを再確認した。松尾氏は偉業の後いろいろあって、ラグビーの表舞台に戻れていないが、M大の黄金期や新日鉄釜石での偉業をリアルタイムで体感していた者として、彼には日本ラグビーをもっと引っ張ってほしかった。

 そして、ジャパンの監督として、かつて歯が立たなかったイングランドを僅差まで追い詰めるまでに強化した大西鐵之祐氏の、戦術とチームづくりに関する話も胸を熱くするものだった。W杯でのジャパンが凄かった分、日本ラグビーの苦悩の歴史と、関わってきた多くのラガーマンたちのハートの熱さには、あらためて心が動かされた。

 そして、古いファンも、もう一度生まれ変わる時なのかもしれない……と思う。だが、また、やはり大学ラグビーは死ぬまでこの状態でボクを一喜一憂させ続けるのだろうとも思う。まあ仕方がない……


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